冬から春にかけての季節、手足の冷えや体調不良に悩む人も多いのではないでしょうか? 中医学では、「冬は腎(じん)を養う季節」とされ、体を温める食事や生活習慣が推奨されています。中医学で言う「腎」とは単なる腎臓の働きだけでなく、体内の水分代謝をコントロールして排出する機能全体を指します。
体を温める作用のある食材としては、ネギ、ニラ、鶏肉、羊肉などがありますが、その中でも ショウガ(生姜)は、手軽に摂取できる食材の一つです。
中医学では、ショウガは「温中散寒(おんちゅうさんかん)」の効能を持ち、体を温めて冷えを取り除く作用があると考えられています。また、使い方によって効果が異なるのも特徴です。
<生のショウガの場合>
•発汗を促し、風邪の初期症状に効果的
•胃腸を温め、消化を助ける
<過熱したショウガ、乾燥したショウガ(中医薬の乾姜)>
•深部から体を温め、慢性的な冷え性に有効
•血流を促進し、冷えによる痛みを和らげる
ショウガの効果は科学的にも証明されています。ショウガには400種類近くの天然の化学成分が含まれていると言われています。代表的な成分としては、ビタミン・ミネラル・ジンゲロール・ショウガオールなどがあります。これらは抗炎症作用や抗酸化作用があり、健康維持に役立つ成分です。ジンゲロールとショウガオールはどちらもショウガの辛味成分ですが、ジンゲロールは新鮮なショウガに多く含まれており、ショウガの生の状態の特徴的な辛さの原因です。ジンゲロールには殺菌作用、解熱作用、免疫力向上、血管を拡張して血流を促進する作用などがあります。ただ、血管を拡張して発汗させるため、汗が引くと体の熱が奪われ、体が冷えてしまう恐れがあります。
一方、ショウガを加熱するとジンゲロールがショウガオールという成分に変わります。加熱温度は80℃が目安です。ショウガオールはジンゲロールよりも辛さが強く、その特徴的な風味が熱を加えた料理によく登場します。乾燥したショウガに含まれているのもショウガオールです。ショウガオールは体内の脂肪や糖質を燃焼させて、体温を上昇させます。体を内側から温めることで、冷え性や血行不良の改善に役立ちます。また、消化器系の機能を整え、胃腸の健康維持をサポートする効果も注目されています。
高知県・四万十町はショウガの産地として知られています。温暖な気候と清流・四万十川に恵まれた環境はショウガの栽培に最適です。
四万十のショウガは、一般的なショウガよりも辛みが強く、温め効果が高いのが特徴です。水はけの良い土壌と適度な雨量により、風味豊かで大ぶりのショウガが育ちます。また、農薬や化学肥料の使用を抑えた栽培が多いことから、品質の高さが評価されています。
四万十町ではお湯や紅茶に加えて手軽に飲めるジンジャーシロップや、 そのまま食べたり、料理に入れて食べる黒しょうが(乾燥ショウガ)なども生産されています。