株式会社ミンテンテック

慢性炎症疾患×水素の可能性

2021/07/26

「慢性炎症疾患における水素の治療的応用の可能性:ミトコンドリアのストレスに対する抑制の可能性」(慶應義塾大学およびカルフォルニア大学バークレー校とMiZ(株)の論文)がスイスの国際科学誌・International Journal of Molecular Scienceのオンライン版に掲載
https://www.mdpi.com/1422-0067/22/5/2549

炎症は、身体を守る生体の防御反応です。 例えば、身体に侵入した細菌やウイルスと白血球が戦っているときに起こります。その炎症は急性のものと慢性のものがあります。

慢性的な炎症は、炎症を起こした組織に障害を与え、機能を低下させ、さらに過剰に作られた炎症性サイトカインは体内の他の組織にも働いて全身的に炎症が広がり、アルツハイマー病、うつ病、脳梗塞、心筋梗塞、喘息、糖尿病、肝硬変、アトピー性皮膚炎、関節リウマチ、がんなど様々な病気のもとになります。さらに病気だけでなく、肥満や老化も慢性炎症と関連があるとされています。

これまでは、水素は過剰な活性酸素を消去することで炎症を抑制するメカニズムが報告されていますが、活性酸素の中身については調査されておりませんでした。活性酸素には悪玉活性酸素と善玉活性酸素があり、悪玉に属するヒドロキシルラジカルは酸化力が強いため、DNAの障害を起こします。そのヒドロキシルラジカルはミトコンドリアから産まれ、ミトコンドリアDNAを損傷したり、細胞死を誘発します。水素はヒドロキシルラジカルだけを選択し、消去します。水素はこのミトコンドリアDNAの酸化障害を抑制することが水素による急性炎症や慢性炎症の抑制効果のメカニズムなのではないか、と考えました。これからさらに研究が必要となってきますが、水素の医療応用は慢性炎症性疾患の問題を解決する可能性があり、そして老化をも抑制する可能性を秘めています。