株式会社ミンテンテック

海水を原料として水素を生産

2023/12/11

海水を原料として水素を生産

 水素は水の電気分解や天然ガスなどの化石燃料またはバイオマスの水蒸気改質によって製造されています。原料となる水に海水を利用することができれば、原料はほぼ無限です。しかしながら、海水の成分は複雑で、90種類以上の化学元素および大量の微生物と粒子を含んでおり、強い腐食性と毒性を持つため、淡水化や精製、アルカリ化などの前処理プロセスが必要とされてきました。この前処理のためには大規模な設備が必要であり、製造コストが高くなるため、これらの前処理なしで海水を直接電気分解して水素を製造する方法は日本をはじめ各国で研究されています。
 中でも、中国の工程院は今年の5月に中国東方電気集団と共同で、洋上風力発電での無淡水化海水のインサイチュ法による直接電気分解水素製造テストを行い、成功したと発表しました。インサイチュ法とはその場で行うという意味で、洋上風力発電設備で海水から水素を生産するということです。
 中国工程院の謝和平院士によると、蒸気圧力差の物理力学駆動により、海水中の90種以上の複雑な元素および微生物が水素製造に与える影響をすべて排除することができたとのことです。また、風力発電という再生可能電力を用いた水の電気分解は、製造工程においてもCO2を排出しないことから、最もグリーンな水素製造法として今後の実用化が期待されます。